近現代の産業の発展-1

近現代の産業の発展

幕末から明治にかけて、極めて短期間で産業化を成し遂げた日本。
その礎のひとつには、福岡県内で興隆した製鉄・製鋼、石炭産業がありました。
世界史の観点からも大変重要な、福岡の産業遺産について学びましょう。


官営八幡製鐵所旧本事務所(眺望スペース)

世紀を越えた産業遺産

世界遺産に登録された「明治日本の産業革命遺産」の構成資産に含まれる。100年以上前に建設された製鐵所は、日本の産業化に大きく貢献しました。修繕工場は今なお現役で稼働しています。


学習のポイント
製鉄所の構内にあり一般には公開されていませんが、眺望スペースには解説案内板や古写真の展示があり製鐵所の歴史を知ることができます。観光案内ガイドも常駐しています。眺望スペースからは、世紀を越えた産業遺産を望むことができます。

写真提供:日本製鉄(株)九州製鉄所

Column

官営八幡製鐵所の歴史-1

修繕工場内部(非公開施設)

官営八幡製鐵所の歴史

【明治の一大国家プロジェクト】
自国で鉄を製造することを目指し、ドイツの技術や指導のもと建設された八幡製鐵所。1901(明治34)年に操業を開始して以来現在に至るまで、日本の重工業の発展を支えてきました。

写真提供:日本製鉄(株)九州製鉄所


遠賀川水源地ポンプ室

100年以上動き続ける施設を感じ学ぶ

官営八幡製鐵所に必要な工業用水を供給するため、1910(明治43)年に完成したポンプ室。イギリス製の蒸気ポンプを導入するなど当時の最先端の技術で鉄づくりを支えました。


学習のポイント
現在も稼動している施設のため内部の見学はできませんが、観光案内ガイドに眺望スペースから詳細に解説してもらえます。

三池炭鉱 宮原坑・専用鉄道敷跡

年間40~50万トンの出炭を誇った三池炭鉱の主力坑

日本の近代化を担った三池炭鉱の施設のひとつです。炭鉱関連の施設が残っており、実際に使用されていたレンガ造りの巻揚機室や現存する日本最古の鋼鉄製の櫓は、当時の面影を今に伝えています。

ガイドの案内で、炭鉱が果たしてきた役割やエネ ルギーについて学ぶことができます。三池炭鉱専用鉄道敷跡も宮原坑から見学できます。昔炭鉱で働いていたガイドもおり、炭鉱が果たしてきた役割やエネルギーについて学ぶことができます。三池炭鉱専用鉄道敷跡も宮原坑から見学できます。


学習のポイント
【明治後期から大正期の主力坑】
三池炭鉱が国から三井に払い下げられて、はじめて独自に開発した坑口。1898(明治31)年に開坑し、現在、1901(明治34)年に完成した第二竪坑施設が残り、櫓と巻揚機室から当時の様子をしのぶことができます。

三池港(三池港展望所)

明治期の大港湾事業。今なお現役で稼働

1908(明治41)年に開港した三池港。開港当時の姿をとどめたまま、現在も産業港として活躍しています。


学習のポイント
当時、干満の差が大きい有明海に1万トン級の大型船が入港できるように、水位を調節し船を行き来させる「閘門式船渠」を備えた日本で唯一の港。日本の近代化の原動力となった三池港の歴史や役割について学べます。現地ガイド(要予約)をおすすめします。

三池炭鉱 万田坑

隣県に足を延ばして世界遺産スポットめぐり

宮原坑に続き開削された三池炭鉱の主力坑です。明治・大正期における日本最大規模の竪坑として産業化に大きな役割を果たしました。


学習のポイント
明治・大正・昭和時代に使用され現在も当時とほぼ同じ状態で残る巨大な鋼鉄製の竪坑櫓やレンガ造りの巻揚機室などがあり、当時の炭鉱マンの仕事を肌で感じることができます。ガイドによる案内も可能(要事前予約)。

門司港レトロで産業遺産を巡る

国際貿易港の繁栄を色濃く残す港町

1889(明治22)年に開港し、国際貿易港として栄えた門司港。北九州市の工業力を生かし、特にアジア方面の貿易基地として活躍しました。また、当時は台湾や中国、欧州へ向かう客船が一カ月に60隻ほど出航しており、外国へ想いを馳せる旅人で賑わったといいます。現在も歴史ある建造物が多く残されており、アインシュタイン夫妻も宿泊した「旧門司三井倶楽部」や昭和初期まで税関庁舎として使われていた「旧門司税関」などの見学ができます。


学習のポイント
【なぜ門司港には西洋の雰囲気が漂うのか。国際貿易の第一線で活躍した歴史を知る】
「旧大阪商船」や「旧門司税関」など当時の面影を残す建物や資料を通じて、明治から大正にかけて国際貿易の拠点として栄えた門司港の歴史を学ぶことができます。「九州鉄道記念館」にはかつて明治を駆けた木造の客車の実物が展示され、座ることが可能です。

各スポット詳細はこちら
旧大阪商船
旧門司三井倶楽部
旧門司税関
九州鉄道記念館

田川市石炭・歴史博物館

日本の近代化を支えたエネルギー・石炭の歴史を探る

多くの石炭を国内に供給した筑豊炭田の歴史と文化が学べる施設。敷地内にある旧三井田川鉱業所の二本の大きな煙突は筑豊・田川のシンボルです。


学習のポイント
【炭坑の町・田川の歴史を通じて日本の産業を支えた石炭を学ぶ】
石炭の採掘方法や炭坑に関わった人々の生活・文化などを学ぶことができます。特に、収蔵する「山本作兵衛コレクション」の炭坑記録画・日記など627点が国内初のユネスコ世界記憶遺産(世界の記憶)に登録・一部展示されています。日本の近代化を支えた筑豊の石炭産業について、総合的に学習することができます。

旧伊藤伝右衛門邸

優美な近代和風住宅に見る石炭で繁栄した九州の歴史

明治期に建てられ、大正から昭和初期に増改築された近代和風建築。炭鉱王・伊藤伝右衛門とその妻であった柳原白蓮が暮らした豪邸として、筑豊における石炭産業の歴史とこれに関わった人々の文化を垣間見ることができます。


学習のポイント
筑豊の炭鉱王・伊藤伝右衛門の本邸。敷地約2,300坪、建坪約300坪。広大な回遊式庭園を持つ近代和風住宅。洋風意匠を取り入れ、和洋折衷、美しく調和のとれた建築技術や繊細で優美な装飾を見ることができます。

旧藏内邸

日本を支えた筑豊炭田で成功した、藏内氏の本家邸宅

明治から昭和にかけて、筑豊地域を中心に炭鉱・鉱山の経営で財を成した藏内次郎作、保房、次郎兵衛の藏内家三代にわたる本家住宅です。明治中期に建設され、昭和初期にかけて大玄関・茶室などの増築が行われました。


学習のポイント
庭園を含む敷地全体が、2015年に国指定名勝に指定されています。邸内の宝蔵には、藏内氏と炭鉱経営に関する貴重な資料などを多数展示しており、当時の時代背景を感じることができます。

大牟田市石炭産業科学館

三池炭鉱の歴史と日本の近代化を学ぶ

国内最大の炭鉱を抱えた大牟田市。日本の近代化と戦後復興を支えた石炭産業の歴史や、石炭を含むエネルギーについて、体験しながら学びます。


学習のポイント
【採炭機械や坑内電車…。リアルに再現された坑内を見学】
「ダイナミックトンネル」では再現された地下400mの坑内の様子を体験できます。また、「こえの博物館」の映像では、炭鉱に関わった人々の証言を通じて、三池炭鉱の歴史を学習します。世界遺産「明治日本の産業革命遺産」の「宮原坑」「万田坑」と合わせて見学すると、より一層理解が深まります。

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