【サイクル福岡】台湾へ“愛車と旅する”という選択。はじめての海外輪行で見えてきたこと
海外に自転車を持っていく――。
そう聞くと、多くの人が「大変そう」「壊れそう」と身構えてしまいます。
梱包、空港での預け入れ、現地での移動・・・
心配が次々出てくるのは当然です。
しかし今回、福岡から参加した10名のうち6名が実際に台湾へ愛車を持ち込み、初めての海外輪行に挑戦した。そして彼らの帰りの第一声は、意外なほど明るいものでした。
「思ったよりずっとスムーズでした」
「これなら誰でもできると思います」
もちろん、気をつけるべきポイントはあります。
そこさえ押さえておけば海外輪行は決して“特別な人だけのもの”ではありません。
旅の自由度と楽しさを大きく広げてくれる手段になります。
この記事は、台湾・花蓮太平洋カップに参加した派遣団の中から、実際に海外輪行した参加者の体験をまとめたものです。
これから挑戦する人にお役立ていただければ幸いです!
福岡空港で感じた、旅の始まりの空気
11月の早朝。
まだ薄暗い福岡空港のロビーに静かに並んだ輪行バッグの列。
その光景だけで、旅の高揚感がじわじわ広がっていきます。
黒いシーコン、軽量のOS-500、キャスター付きタイプ。
それぞれのバッグは、持ち主のスタイルやこだわりを物語っています。
ホイールカバーに反射する光、バッグの生地をこする小さな音、「いよいよ海外に行くんだ」という空気がゆっくりと満ちていきます。
輪行バッグが並ぶだけで、そこにはすでに“出発前の一体感”が生まれていました。
梱包で一番大事だったのは“守るべき場所を理解すること”
海外輪行で最も時間をかけたのは、やはり梱包です。
今回、6名全員が口を揃えたのが「ディレイラーまわりだけは絶対に守る」 という点。
• ディスクローターにはスペーサーを挟む
• ディレイラーをプチプチやタオルで二重に保護
• チェーンの暴れ防止
• ケーブル類に目印をつける
• 接触しそうな場所には緩衝材を厚めに
バッグの種類はバラバラでも、“守るべきポイントを押さえる”という意識は全員に共通していました。
LCCでの預け入れは思いのほかスムーズだった
— 海外輪行 × LCC のリアル
今回は全員がLCCで台湾へ。
“厳しいチェックがありそう”というイメージがあったが、実際は意外なほどシンプルでした。
確認されたのは主に次の3点です。
1)タイヤの空気を抜いているか
2)リチウムイオン電池を内蔵したアクセサリーが入っていないか
(例:充電式ライト、ワイヤレスイヤホン、モバイルバッテリー、充電式空気入れなど)
→ ※これらは預け入れ不可のため、機内持ち込みが必要
3)重量が規定以内か
なお、電動コンポーネント(Di2 など)のバッテリーについては今回特に指摘はなく、取り外しを求められることもありませんでした。
ただし、航空会社によって取り扱いが異なる場合もあるため、事前に確認しておくと安心です。
「クランク上向きでお願いしたのに、逆向きで返ってきた」という声もあり、やはり扱いには個人差がある模様。
そのため、最終的な安心材料はやはり梱包の丁寧さに尽きます。
台湾での移動は、予想以上にスムーズだった
— “自転車に優しい国”という実感
台湾に到着すると、台北市内までの移動はチャーターしたワゴンを利用。
ワゴンへの輪行バッグの積み込みはドライバーが担当してくれた。
これが本当に助かった。
台北から大会会場の花蓮への移動は、1階が荷室になっているハイデッガーのチャーターバスを利用。
ここでもとても丁寧に扱ってもらえた。
台湾はスポーツサイクル文化が根づいた国で、競技としてもレジャーとしても自転車が身近にある。
そのため、自転車への理解が深く、扱いに安心感があった。
ただ、チャーターしたワゴンのドライバーに限っては、丁寧な人・豪快な人がいて、個性の差があったという。
それもまた海外の面白さのひとつだ。
“電動ポンプを持参したこと”は、今回の大きな成功ポイント
台湾で空気入れを探すのは意外と難しい。
イベント会場も混雑しやすい。
そこで大活躍したのが、事務局が持っていった 電動ポンプ。
• 大人数でも短時間で細かく設定した気圧で空気が入る
• 夜でもホテルでサッと作業できる
• フロアポンプより圧倒的に軽い
• 荷物にならないのに効果は大きい
参加者が持参したフロアポンプも役立ちましたが、「次も絶対に持っていきたい」という声が多かったのは電動ポンプでした。
輪行した参加者に聞いた、リアルな“学び”
梱包について
• ディレイラーまわりは最優先
• 100円ショップのプチプチが活躍
• 配線に目印をつけると再組立てがラク
• バッグ本体のネジ・キャスターの緩みチェック
空港・航空会社について
• 航空会社スタッフによる空気圧チェックは複数回あり(列の誘導担当者からの声掛け、カウンター担当者による確認がある)
• リチウムイオン電池を内蔵したアクセサリー(充電式ライト/サイコン/ワイヤレス機器など)は預け入れ不可のため “必ず外して機内持ち込みへ”
• ただし、Di2など電動コンポーネントのバッテリーは今回のフライトでは特に指摘なし(航空会社によって対応が異なるため、事前に確認しておくと安心)
• 重量チェックはスタッフによって差がある
台湾で感じたこと
• 空港スタッフがとにかく丁寧
• 自転車文化の成熟を感じる
• ワゴンドライバーだけは運による
• 電動ポンプがあると作業効率が段違い!
おわりに
海外輪行は“特別な人のための特別な旅”ではありません。
必要な準備を知っておくだけで、不安は驚くほど小さくなります。
そして、台湾にはサイクリストを温かく迎えてくれる空気があります。
愛車と一緒に海外を走る——
その体験は、旅をまるごと変える可能性を秘めています。
一度味わえば、その魅力はきっと忘れられないものになるはずです!