【サイクル福岡】ダムサイクリング②あさくら3ダム-1

【サイクル福岡】ダムサイクリング②あさくら3ダム

筑紫山地と筑後川が共演する朝倉市で、3つのダムを巡ってみませんか?「あさくら3ダム」としてサイクリストに親しまれ、2023年の秋には九州初のUCI(国際自転車競技連合)公認サイクルロードレース「ツール・ド・九州」の舞台にもなった好ルートです。河童の町、白壁の町、水車の里、そして由緒ある城下町も訪れる欲張りなプランを紹介します!


「日本発祥の地」からスタート!

鉄道における朝倉市の入口が、西鉄甘木駅と甘木鉄道の甘木駅。前者は私鉄の終着駅らしくこぢんまりとしていて、1948年に建てられた駅舎が現役。現存する西鉄の駅舎としては最古といわれています。

100mほど離れたもう一方の甘木駅は、元は国鉄甘木線の終着駅。1939年の開業時に建てられた立派な駅舎が迎えてくれ、広い駐車スペースもあります。駅前広場には「日本発祥の地」の碑が。かつて甘木・朝倉地方に邪馬台国があり、卑弥呼の里だったと伝えています(※邪馬台国の場所は諸説あり)。国道500号を挟んで向き合う両駅は、いずれも旅の始まりにふさわしい旅情を感じさせます。


河童伝説のまち、田主丸

甘木駅から「あさくら3ダム」のひとつ、最も麓に近い寺内ダムまでは約10km。周辺には見どころが多く、ダム巡りだけではもったないエリアなので、まずは南へ向かい、筑後川を渡って田主丸(久留米市)を訪れてみましょう。九州最大の筑紫平野の上流部で平坦な道が続くため、序盤の足慣らしにぴったりです。

田主丸は、江戸時代初期に当地を治めた菊池丹後入道長芳が整備した水郷です。彼が唱えた「楽しく生まる」という往生観(悟りを開く考え)から「たぬしまる」の名が付いたといわれます。河童伝説の地としても知られ、ひばり川沿いを中心に河童像がいっぱい。さらに、JR久大本線田主丸駅の河童を模したユニークな駅舎は、圧倒的な可愛さがサイクリストにも大人気。バイクラックも設置されているので、駅の内外に記された河童伝説をゆっくり読み込むことができます。駅前のカッパロードも見逃せません!


風情ある白壁の町並みから三連水車へ

東へ約7km進んだ筑後吉井(うきは市)では、福岡県で初めて重要伝統的建造物群保存地区に選ばれた白壁の街並みを見ることができます。田主丸から筑後吉井へ、さらに水郷を象徴する三連水車の里まで、ずっと平坦な道が続きますので、疲れ知らずで訪れることができます。


寺内ダムの登場!

筑後川沿いの水田地帯を横断し、いよいよダムを目指します。平野が尽きる前に、食事処やコンビニで補給しておきましょう。国内では希少な砂糖の産地である三奈木(みなぎ)に入り、「ツール・ド・九州」のコースにもなった県道509号に出ると、緩やかな上りが始まります。

筑紫山地がどんどん近づき、足に力が入るようになると、田畑の向こうに寺内ダムが姿を現します。岩石を積み上げたロックフィルダムで、堤体の傾斜が浅く裾野が広いのが特徴。1978年に完成し、幾多の水害や渇水から農村と町を守ってきた歴戦のダムです。麓から約2kmの細道で堤高83m(標高136m)まで駆け上がります。寺内ダムによって作り出された広大なダム湖は、美奈宜湖(みなぎこ)と名付けられ、ダム湖百選に選ばれています。


心が折れそうな山岳道路

美奈宜湖を離れると、道はぐんぐん上昇して小石原川ダムへ。県道509号、79号、そして国道500号と道路ナンバーは変わりますが、基本的に道なりに進みます。美奈宜湖の東端から国道500号に出るまでの約9kmが、このルートの勝負どころ。勾配10%近い坂が現れ、標高およそ400mまで楽をさせてくれません。まるで信州の山奥のような山岳道路が続き、心が折れそうになることも…。ダムのおかげで道路の整備状況が極上で走りやすく、交通量も少ないのが救いです。


令和生まれの小石原川ダム

東峰村をかすめ、ようやく勾配が穏やかになって少し下ると、令和あさくら湖が現れます。小石原川ダムによって生まれたダム湖です。小石原川ダムは2019年に完成したばかりなので、ダム湖の様相がまだ自然に溶け込んでおらず、異様な迫力に目を奪われます。“新品”といった感がある滑らかな道が湖畔に続き、籾岳トンネルで尾根を貫くと、堤頂の長さが558.3mもある小石原川ダム本体が視界いっぱいに迫ります。

堤高は139mで九州一(標高は359m)。寺内ダムと同じロックフィルダムですが、より大規模で圧倒的な存在感!そばには、建設までの紆余曲折や水没する故郷への思いを刻み、ダムが役立つことを祈念する移転者一同による碑文が立っています。汗を拭き、襟を正して3つめのダムへ向かいましょう。


あさくら3ダムの長男・江川ダム

小石原川ダムの堤体を過ぎると、幸いにも下り基調で楽々と江川ダムへ。1972年に完成した「あさくら3ダム」の長男といえるダムで、堤高は79.2m。これまで見たふたつのダムはロックフィル型ですが、江川ダムは最も一般的な重力式コンクリートダム。上流側が垂直に切り立った城壁のような姿が特徴です。ダム湖は上秋月湖と呼ばれ、筑後地方はもとより、福岡や佐賀の街まで潤す大切な水源となっています。
 


筑前の小京都・秋月

江川ダムを後にしたら、今回のダムサイクリングの締めとして秋月の城下町を訪れましょう。武家屋敷が並ぶ閑静な小路は、秋月藩(福岡藩の支藩)の黒田氏が築いたもの。1876年に明治政府に対する士族反乱(秋月の乱)の舞台となり、地理的要因も重なって近代化から取り残されてしまいました。そのため却って「筑前の小京都」と呼ばれる町並みが維持され、城下町のほぼ全体が重要伝統的建造物群保存地区です。

地区の入り口には天然酵母を使ったパン店があり、多くのサイクリストに愛されています。秋月から7kmほど南へ走れば、甘木駅に戻ります。交通量が格段に増えてきますので、最後までキープレフトでご安全に!


ルート地図はこちら


Google Mapの読み込みが1日の上限を超えた場合、正しく表示されない場合がございますので、ご了承ください


SHARE

次に読みたい特集記事

当サイトでは、利便性の向上と利用状況の解析、広告配信のためにCookieを使用しています。サイトを閲覧いただく際には、Cookieの使用に同意いただく必要があります。詳細はクッキーポリシーをご確認ください。
ページトップへ