伝統とクラフトが息づく、東峰村のものづくり
山あいの静けさに包まれた東峰村は、350年の歴史を紡ぐ小石原焼の窯元や、170年続くみそ蔵が点在する“手仕事の里”。ここには、効率よりも手間暇を大切にした豊かな暮らしがあります。どこか懐かしさに包まれる風景、みそを醸す香り、丹精込めて作られた料理、そして小石原焼の器の手触り。日々の暮らしに寄り添う、ものづくりの魅力に出合う旅で、心洗われる時間を堪能しましょう。
栗木野橋梁(めがね橋)|山里に架かるアーチの造形美、昭和の土木遺産
JR日田彦山線の筑前岩屋駅から大行司駅にかけて、山あいの渓谷をまたぐようにして架かる多連アーチ橋。昭和13年(1938年)に完成した「栗木野橋梁」は、全長71.2m、高さ20mの5連アーチが連なり、近代土木遺産にも選ばれた美しい橋です。
かつては黄色いローカル列車が走り抜けていましたが、現在は日田彦山線BRT「ひこぼしライン」がこの上を通過します。新緑、紅葉、そして雪景色と、四季折々に表情を変える山里の風景に溶け込むその姿は、どこか懐かしく、心にじんわりと沁みてきます。毎年12月にはライトアップも行われ、澄んだ夜空に浮かび上がる幻想的な光景が人々を魅了しています。
■栗木野橋梁(通称:金剛野橋・めがね橋)
住所:福岡県朝倉郡東峰村宝珠山3230-2
電話番号:0946-72-2313(東峰村役場 農林観光課)
営業時間:見学自由
アクセス:国道211号「宝珠山交差点」を左折、県道52号沿い/日田彦山線BRTひこぼしライン「筑前岩屋駅」から徒歩約10分
カネダイ味噌醤油醸造元|山里の蔵元で体験!手づくりみその豊かな時間
釈迦岳と英彦山の清らかな水が流れる東峰村・宝珠山。この地で江戸後期から麹づくりを続けてきたのが、「カネダイ味噌醤油醸造元」です。初代・井上勝次が18歳でこの土地に移り住んだのは1841年、天保の改革の時代。麹が気持ちよく育つ環境を求め、澄んだ空気と寒暖差のある山あいの地を選んだといいます。
170年の歳月を経た今も、麹づくりの伝統は変わりません。手づくりの麹、国産大豆、そして地元の天然水。保存料や添加物を一切使わない生みそは、購入後も発酵が進み、味わいが深まっていくのが特徴です。
みそ作りのキット「おみその学校」は、家庭で手軽に本格的なみそを手作りでき、発売から40年以上愛され続ける人気商品。蒸した大豆と麹、塩がセットになっていて、混ぜて容器に詰めたら、あとは2〜3カ月ほど熟成を待つだけ。米みそ、麦みそ、合わせみその3種類から選べるのも嬉しいポイントです。
さらに、2名から参加できるみそ作り教室も開催中。材料はすべて用意されているので手ぶらで気軽に参加でき、スタッフが丁寧に教えてくれるので初めての方やお子様連れでも安心です。お手製のみそが熟成していくのを想像しながら寝かせる時間も、完成後のおいしさを高めるエッセンスになるはず。
みそや醤油を製造する工場横の直売所では、すぐに使える「元気なこうじくん」シリーズや、昔ながらの製法で仕込んだ醤油、アレンジを楽しめるみその加工品を販売。日々の食卓をヘルシーに彩る発酵食品が、たくさん揃っています。
■有限会社カネダイ(おみその学校 カネダイ味噌醸造)
住所:福岡県朝倉郡東峰村宝珠山7
電話番号:0120-3030-39(フリーダイヤル)
営業時間:8:00〜18:00
定休日:直売所は無休(年末年始は休み)、みそ作り教室は要予約
アクセス:大分自動車道「杷木IC」から車で約15分/「日田IC」から車で約15分
やまめ山荘|江戸の古民家で味わう、渓流育ちのやまめ料理
小石原焼の里を奥へと進んだ先に佇む、木立に囲まれた一軒の古民家。立派な冠木門をくぐり、ゆるやかな坂道を歩いていくと、季節を切り取ったような美しい庭園と、築200年を超える建物が姿を現します。太い梁と土壁が醸す静謐な空気が漂い、窓越しに見えるのは中庭の緑、水路のせせらぎ。席に着く前から、日常を離れた特別な時間が始まります。
店名の通り、看板料理は敷地内で育てられた「やまめ」。岩盤の間を流れる天然の水脈から汲み上げた、やわらかな水で育ったやまめは、臭みがなく身はふっくら。その味わいを堪能するなら、やまめ料理を3品楽しめる「つつじコース」(3,960円税込)がおすすめです。
やまめの刺身はなめらかで弾力があり、背ごしは小骨のコリコリとした歯ざわりが魅力。「つつじコース」では刺身と背ごしのどちらかを選べ、その上品な味わいに感動するはず。炭火でじっくり焼き上げた塩焼きと唐揚げも、皮は香ばしく身は脂がのって、噛むほどに旨味が広がります。山菜の小鉢3品やごはん、みそ汁、食後のドリンクとデザートまで付いて、ひと皿ずつゆっくりと堪能できるコースです。
七輪で山里鶏を自分で焼く「かえでコース」(3,960円税込)も、やまめ料理が1品付く満足度の高いメニュー。山里鶏の弾力豊かな食感と、炭火で引き出す濃厚な旨味をぜひ味わって。
料理を盛る器は、すべて地元・小石原焼。飛び鉋の模様が施された皿に、山の恵みが美しく映えます。完全予約制のため、訪れる際は事前の電話予約をお忘れなく。
■やまめ山荘
住所:福岡県朝倉郡東峰村小石原1612
電話番号:0946-74-2728
営業時間:11:00〜15:00(土・日曜、祝日〜17:00)※完全予約制
定休日:火曜
アクセス:大分自動車道「杷木IC」から車で約20分
翁明窯元|伝統技術に現代のセンスを添えて。暮らしに寄り添う器の数々
小石原焼の数ある窯元のひとつ、「翁明窯元」。1983年に先代・鬼丸翁明さんが開窯し、現在は二代目の尚幸さんがその志を受け継いでいます。「使うほどに愛着がわき、日常がもっと豊かになる器を」という想いのもと、一つひとつ丁寧に手仕事で仕上げられる器は、どこかあたたかく、手に取るとしっくり馴染みます。
小石原焼伝統の「飛び鉋」にポップな水玉模様を組み合わせたデザインは、先代が手がけた人気シリーズ。ろくろを回しながら鉋を当て、規則的な削り目を刻んでいく飛び鉋の技法と、愛らしいドット柄を重ね合わせることで、小石原焼の伝統に新鮮な表情を与えています。ほかにも、料理が映えるマットな質感の釉薬を使用したり、刷毛目の技法で花びらなどのモチーフを重ねたりと、尚幸さんが考案した現代的な新シリーズも注目を集めています。伝統の技をアレンジしながらも主張しすぎず、それでいて食卓に彩りを添える器たちは、和食にはもちろん、パスタやサラダなど洋食との相性も抜群!
高い天井と木のぬくもりが心地よいギャラリーには、プレートや茶碗、マグカップから豆皿まで、さまざまなサイズの器がずらりと並びます。民陶祭の時期には外まで行列ができるほどの人気ぶり。普段使いの一枚から、贈り物に選びたいセットまで、きっとお気に入りが見つかるはず。小石原の土と水、そして職人の手から生まれた器を、日々の暮らしに迎え入れてみてはいかがでしょうか。
■翁明窯元(おうめいかまもと)
住所:福岡県朝倉郡東峰村小石原1126-1
電話番号:0946-74-2186
営業時間:10:00〜17:00
定休日:火曜
アクセス:道の駅小石原から徒歩約14分/大分自動車道「杷木IC」から約20分
山里に息づく手仕事と、ゆっくり流れる時間。東峰村で出合うのは、効率や便利さでは測れない“本当に豊かな暮らし”のかたちです。次の休日は、伝統とクラフトが今も息づくこの村で、静かに心を満たす旅を楽しんでみませんか。
■BRTひこぼしライン1DAY満喫フリーチケット
BRTひこぼしラインに乗って東峰村を巡るなら、「1DAY満喫フリーチケット」が便利。添田駅〜日田駅間のBRT全線が終日乗り放題になるほか、お得な特典クーポン(約50種類)もセット。大人990円・小児490円(2026年1月16日現在)で、スマートフォンアプリ「my route」から購入できます。
※掲載されている情報は2026年2月時点のものです。お出かけ前にはWebサイトや電話で最新情報をご確認ください。