【サイクル福岡】有明海を自転車で一周!「アリイチ」レポート-1

【サイクル福岡】有明海を自転車で一周!「アリイチ」レポート

福岡県大牟田市をスタートし、佐賀、長崎、熊本と九州4県をまたいで有明海沿岸を一周するサイクルイベント「サイクリングariichi2023」(通称アリイチ)が、2023年10月8日に初めて開催されました。


アリイチとは?

いま国内では「〇〇イチ」という名称のサイクルルートが大人気。ビワイチ(琵琶湖一周)、アワイチ(淡路島一周)、サドイチ(佐渡島一周)などが有名です。アリイチは有明海を一周しながら、4県13市町と複数の県・市・町をまたぐ広域ルート。国内では珍しいケースで、ほかにはシコイチ(四国一周)という四国4県(愛媛・高知・香川・徳島)をまたぐルートがあります。
そんなサイクリングイベント「アリイチ」が初開催されるということで、参加してきました!

【レギュラーコース150km】
福岡県大牟田市「諏訪公園」~みやま市~柳川市~大川市~佐賀県佐賀市~小城市~白石町~鹿島市~太良町~長崎県諫早市小長井~雲仙市多比良港~フェリー~熊本県長洲町長洲港~荒尾市「BAOO荒尾」横(参加者駐車場隣接地)


大牟田市諏訪公園をスタート!

大牟田市は、前日に開催された「マイナビ ツール・ド・九州2023」福岡ステージのゴール地点。福岡・熊本・大分を舞台としたUCI(国際自転車競技連合)公認サイクルロードレースに合わせて「アリイチ」を開催することで、地元の人々に自転車の魅力をもっと知ってもらいたいという狙いもあったようです。

この日はあいにくの天候でしたが、エントリーした145名のうち90名が実走しました。九州以外からは13名の参加があり、一番の遠方は東京から。また、受付を担当していた地元・三池高校の女子生徒たちは、何とチラシを見て自主的に応募してきたそうです。スタート時、雨で下がり気味のテンションが彼女たちの元気な笑顔で上がりました!

第1エイドステーション(以下AS)までは、10名ずつのグループ走行。ウォーミングアップと体調や機材のチェックを兼ねて、いざスタート!
 


黄金色の田園地帯を抜け、第1ASの「tac INTERIOR」へ

スタートして6km過ぎた辺りから、景色は市街地から田園風景へと一変。黄金色に輝く田んぼがとても美しく、青々とした田植えの時期もいいけれど、稲刈り前の田園風景は日本が誇る景観の一つだと実感します。柳川市の沿道では、雨の中多くの声援を受け、テンションUP! 悪天候だけに心からうれしい気持ちになりました。

15km地点の第1AS「tac INTERIOR」(柳川市)で、早速おいしそうなグルメのお出迎え。提供されたのは、八女市にある農業カフェ「未来農業ラボ895」のミントを使ったモヒートや、柳川市の菓子店「モンドリアン正月堂」のむつごろ最中(もなか)、そして5種類の中から選べる手作りおにぎり!(写真2枚目) 一番人気はうなぎだそうです。
 


国重要文化財「筑後川昇開橋」を渡って佐賀県入り

第1ASから20kmほど市街地を走り、第2ASの「大川TERRAZZA(テラッツァ)」に到着。地元・大川市の「志岐蒲鉾(しきかまぼこ)」と「庄分酢(しょうぶんす)」のおもてなしを受けました。志岐蒲鉾は1855年創業、庄分酢は何と「酢づくり300年」と、どちらも100年をゆうに超える老舗企業です。蒲鉾はプリプリ食感で、何とも言えない優しい味わい。リンゴ酢のソーダ割りもシュワシュワでおいしく、疲労回復につながるクエン酸も摂取できました。

大川市は家具で有名ですが、現地に来てみてその理由が何となく分かった気がします。筑後川の河口に位置する大川市は、木材の産地である大分県・日田から川を下って運ばれてくる木材の集積地。有明海へ向かう海上交通の要衝だったことから、家具の生産地として栄えたそうです。

会場のステージでは、久留米市出身で自転車競技界の“レジェンド”中野浩一さんと元競輪選手の高木真備さんのトークショーも開催。雨の中、参加者に向けた熱い声援で大いに盛り上げてくれました!

第2ASを出てスロープを登り、今回のイベントのハイライトととも言える「筑後川昇開橋」(国指定重要文化財)へ。自転車を降りて歩いて進んでいくと、この橋のちょうど真ん中付近が福岡県と佐賀県の県境。ほとんどの参加者が愛車と記念撮影を楽しんでいました。
 

Column

筑後川昇開橋-1

筑後川昇開橋

筑後川昇開橋は、1935年に架設された旧国鉄道佐賀線の鉄道用可動鉄橋で、筑後川をまたいで福岡県大川市と佐賀県佐賀市諸富町を結んでいます。佐賀線が廃線となった現在は歩道橋として活用され、自転車を押しながら歩いて通行可能。国指定重要文化財および機械遺産に認定されています。

もっと見る

有明海の干潟とご対面!

筑後川昇開橋で対岸の佐賀市諸富町へ。第3AS「やまぐちれんこん店」では佐賀県白石町で採れた蓮根のメンチカツと福岡県みやま市のコガコーラを、続く第4AS「道の駅太良(たら)」では太良町のブランド豚肉を使った豚丼と、みかんジュースをいただきました。ここまでは佐賀県内を走ります。

こうした県またぎは実に楽しいもの。前半、見ることのなかった有明海の干潟が、いよいよ鹿島市辺りから見えるようになります。同時に多少のアップダウンが出てきますが、上りもそれほどキツくはありません。

長崎県諫早(いさはや)市の小長井町に入ると、国道207号沿いの約7kmの間に、ミカンやメロン、イチゴなどの形をした「フルーツバス停」がちらほら見えてきます。全部で5種類・15基もあり、思わずクスッと笑えるほどゆるくてかわいいバス停です。途中で第5ASの「小長井A-KICHI」に寄り、長崎に本社を構える「たらみゼリー」と山茶花(さざんか)高原の「冷凍焼き芋甘ちゃん」をいただきました。それにしてもエイドが豪華でうれしいかぎり!

その後、諫早湾干拓堤防道路を渡り、雲仙市へ。堤防道路は7kmの一直線で「この道、最高!」と思ったのもつかの間、強烈な横風と車の多さが少し怖くもありましたが、これもいい思い出。天気が良ければ雄大な雲仙岳が見えるはずなので、次回リベンジしたいと思います。

いよいよアリイチも終盤へと差し掛かり、第6AS「割烹旅館 観月荘」で最後の補給食。これまでのASの補給食全てが充実していましたが、こちらもなかなか面白いストーリーがありました!
 

Column

-1

・じてんしゃ飯
1927年、長崎崎新聞社主催の島原半島一周自転車競走大会を機に誕生した補給食。自転車のように早く炊ける「しょいめし(醤油飯)」(炊き込みご飯)を油揚げに包み、手早く食べられるのが特徴です。

・たいらげぱい
長崎大学経済学部丸山ゼミの学生と観月荘近くの「西洋和菓子処コバヤシ」のコラボ商品。地元の八斗木ねぎと味噌のあんをパイに包み、香ばしさと甘じょっぱさが後を引くお菓子です。

・温泉(うんぜん)レモネード
明治から昭和初期に外国人避暑地だった雲仙で愛飲されたレモネードの復刻版。ラベルデザインもレトロでかわいらしい!


フェリーに乗り、旅情を味わう

第6ASで受け取った補給食を手に、フェリーで熊本県の長洲港へ渡ります。自転車がとても丁寧に養生され、トラックの荷台へ積み込まれていくのは本当に印象的で、参加者の皆さんも感動した様子でした。

乗船時間は約45分。雨の中、補給食を味わいながら参加者同士で今日の雨中ライドの話をしたり、仮眠を取ったり、物思いにふけったり、思い思いに過ごす時間となりました。国内に数多くのサイクルイベントがありますが、150kmを走る途中でフェリーに乗れるのは、おそらく他にはない体験ではないでしょうか。


笑顔のゴール!

いよいよ最後の4県目、熊本県の長洲港に上陸すると、ゴールまでは残り約20km!走り始めてすぐ、運良く雨がやみ始めました。ここで市街地からあえて左折すると、待っていたのは有明海沿岸部ぎりぎりを走行するルート。天気が良ければ最高のサンセットを眺めながらのライドになったはずのルートを走りながら、ゴールの熊本県荒尾市「BAOO荒尾」へと向かいました。

大々的なアナウンスはないものの、笑顔があふれる素敵なゴールとなりました。九州4県をまたぎ、刻々と変わる有明海の干潟の表情を堪能することは残念ながらできませんでしたが、何よりも参加者全員の笑顔がこのイベントの充実感を物語っていると感じました。来年は晴天を願ってリベンジしたいと思います!


SHARE

次に読みたい特集記事

当サイトでは、利便性の向上と利用状況の解析、広告配信のためにCookieを使用しています。サイトを閲覧いただく際には、Cookieの使用に同意いただく必要があります。詳細はクッキーポリシーをご確認ください。
ページトップへ