九州オルレ 久留米・高良山コース 大鳥居をくぐれば、その先は「パワースポット」-1

九州オルレ 久留米・高良山コース 大鳥居をくぐれば、その先は「パワースポット」

久留米は筑後地方を代表する都市。そんな大きな街の中に、どどーんと鳥居があるのには、ちょっと驚きませんか?
これは「高良大社」の大鳥居。筑後国一の宮であるこの大社には、1600年以上の歴史があります。大鳥居を玄関口に、霊山である高良山を訪ね、いにしえの歴史と自然に触れる旅に出かけてみましょう。


コース情報


【行動時間】 5~6時間
【高低差】  約250m 
【距離】   8.6㎞
【難易度】  中級、上級

高良山の山頂近くまでたどるため、前半は登りが多め。登山道で足を滑らせて転ばないようにトレッキングシューズを用意。後半の下りは疲れていたら舗装路からエスケープも視野に入れましょう。


JR久留米大学前駅から早速スタート。車は近くにあるコインパーキングに駐車しました。帰りは隣の駅から電車で戻って来ることができるので安心です。
車での移動はラッシュアワーと重なり、想定よりも時間がかかりました。電車で直接アクセスするのもいいかもしれません。

歩き始めは場所柄、中高生や大学生たちとすれ違います。こちらは山歩きのウェアで、ちょっと場違いな雰囲気。にぎやかな街中から、自然豊かな高良山に向かうというのがまだピンときません。


目印のリボンをたどっていきます。


住宅地に突然、違和感のある風景が現れました。道路をまたいで立つ「石造大鳥居」です。大きな鳥居の下を、車が駆け抜けていきます。車で通過する時は、一礼するのが難しそう。なんだか不思議な光景です。
かつては参道だったのでしょうか。鳥居の後に家々が建てられたのかなと想像が膨らみます。


  • 江戸時代に架けられた御手洗橋。福岡県の有形文化財に指定されている。

  • 石橋を彩る擬宝珠も趣深い。1773(安永2)年の銘が残っている。


高良玉垂宮と刻まれた鳥居から石段の登りが続きます。

鳥居をくぐり、山に近づくにつれ、緑が徐々に増えていきます。ここからが本番です。登りも始まり、途端に登山っぽくなってきました。

 


景色は一面が緑に包まれている一方、道はしっかり整備されています。石段はきちんと手入れされ、背丈を超える高さの石垣もきれいに組まれていました。

歩きやすいこともあり、普段着で歩いていたり、犬の散歩をする人も少なくありません。それでも、こけむした石が、この道の歴史を感じさせます。
差し込んでくる朝日がドラマチックでした。


  • 登りの途中にある人気スポットのひとつ、手を取り合う夫婦のように見える夫婦榊(めおとさかき)。

  • 2手に分かれた幹が途中でつながる「愛のさざんか」。
    こちらもパワースポットとして親しまれています。


厳かな雰囲気に包まれた「石の道」を進むと、一角がきらきらと輝きを放っていました。国の天然記念物に指定されている「孟宗金明竹林」です。緑と淡い黄色のツートンカラーに目を奪われ、立ち止まってしまいます。
孟宗金明竹林はここを含めて全国で4カ所だけ。間近で見たいところですが、手前にフェンスがあり、立ち入りは厳禁です。

 


竹林からほどなくして、石段が途切れ、車道に出ました。ここから、左に行けば高良大社へとショートカットできる場所です。思ったよりも疲れた、体調不良、あるいは時間がない時は、高良大社の奥宮に向かうルートは、次の楽しみにして、あっさりと短縮してしまうのも手です。

奥宮へは、未舗装の登山道がほかのコースと比べても多いエリアになります。これまでよりも道幅が狭まり、登山らしくなります。とはいえ、多くの人が通っていてルートは明瞭です。目印になる赤と青のリボン、馬の形をしたカンセをたどれば、進むのはそれほど難しくはありません。

  • しっかり踏み固められ、歩きやすい登山道が伸びています。

  • 自然林からの木漏れ日が気持ちいい。


気持ちよく20分ほど歩いて奥宮に到着。こぢんまりとしたお社(やしろ)が神秘的でした。
灯籠までこけむして味わいがあります。

諸願成就のご利益があるとされているそうです。自然豊かなロケーションで、いかにもご利益がありそうです。


お参りを済ませたら、登山道を下りましょう。傾斜が急なところもあるので、ゆっくり安全に進みます。下り終えると舗装路に。ゆるい登りがしばらく続きます。足場のきれいな舗装路なので、それほど苦もなく足を動かせば、森林つつじ公園売店に到着です。

山頂に近いつつじ公園から広大な筑紫平野が見渡せます。久留米らしい展望です。


煙突とログハウス調で、山にぴったりな森林つつじ公園売店。店内で食べ物、飲み物をいただくことができます。

「今日は暖かくなってよかったねえ」
ドアを開けると、店を切り盛りする古賀香津子さんが話しかけてきてくれました。看板猫のトラくん、ビーちゃんの2匹も近寄ってきて、歓迎してくれました。
「この近くにある漱石の石碑は見た?」「大友氏と戦があってね」「漱石のお孫さんがこの店に通っていたのよ」

香津子さんから見どころ、名所をアレコレと紹介していただきました。テンポのいい語りに、コーヒーでも飲んですぐに出発するつもりが、ついつい長居してしまいます。勧められるがままに、まるまるとした焼き芋まで買って、食べることになるとは思いませんでした。
 


  • 看板猫のトラくん。好奇心旺盛です。

  • 帰り際に薪集めから戻ってきた夫の一之さん。香津子さんと並んで記念撮影です。


休憩したおかげで足取りは軽く、すぐにこのコースの最高点に到達しました。ここからはゴールまでずっと下り基調が続きます。
下りは歩く速度が上がり、あっという間に高良大社へ戻ってきました。

鮮やかな朱色が印象的な中門。中門をくぐって振り返ると久留米の街並みが門の奥に見えます。

大社を背に一望する久留米の街の見事なこと。石段を上がってきた人たちは振り返って、足を止めてしまいます。
 


石段からだと、この見事な景色を一望できます。


高良大社からの下りでも、きれいな未舗装の道を歩けます。


久留米コースは、愛のさざんか、大樹などいくつも見応えのある名所がありましたが、やはり高良大社を中心とした神域全体がパワースポットということなのでしょう。ルート全体を通して感じられるパワーを、登ったからこそ、ひしひしと感じたのでした。

高良大社を後にして、標高を下げていくにつれ、民家が増え、気が緩みそうになります。街中に入るとホッとしてしまい、集中力と注意力が薄れて、目印のリボンを見失いがちです。
頭では分かっているのに、「高良山がよかった」と盛り上がっているうちに、目印を見落として通り過ぎ、しばらく気付けませんでした。

これもオルレの醍醐味です。予期せぬところに立ち寄れるかもしれません。ちなみに他にも寄り道していたこともあり、移動距離は10kmを超えていました。

なんとか帰りやすい時刻に到着できました。久留米大学前駅は隣駅、徒歩でも2kmほどで戻れます。
とはいえ、寄り道は時間に余裕がある時に限ります。ゴール地点のJR御井駅から、車を停めた久留米大学前駅に電車で戻らなくてはいけません。なんとか予定の発車時刻に間に合わせようと、駅まで小走り。神域を歩いてパワーを得られたからなのか、最後まで元気に動けました。


これから(春)の見どころ

  • 久留米森林つつじ公園

    久留米森林つつじ公園

    つつじは久留米市のシンボル。4、5月には市内の公園や街路樹、家庭の庭でたくさんの種類の花を楽しむことが出来ます。中でも久留米森林つつじ公園は久留米つつじ約100種61,000株が植えられ、春の訪れを感じさせてくれます。
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  • 王子池の桜

    王子池の桜

    地元住民が植樹したとされる王子池周辺の桜やシャクナゲ、400階段沿いにも桜が植えられており、桜越しの眺望も楽しめます。コースのラストスパート地点にあるのでここで一息ついて完走を目指しましょう。
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スポット情報

■高良山参道の石階段
高良山の登山道。筑後国一の宮である高良大社へと続く参道で、神秘的な雰囲気の石階段が続きます。
 
■夏目漱石句碑からの眺望(森林つつじ公園先)
 
■高良大社
国指定重要文化財の本殿は九州最大規模の大きさを誇ります。展望所からは久留米市街が一望できるほか、境内では四季折々の木花の色彩を楽しめます。

久留米市御井町1(Google Map
0942-43-4893


立ち寄りスポット情報

■高良山茶屋 望郷亭
住所:久留米市御井町1(Google Map
電話番号:0942-44-0113
高良大社のすぐ下にある茶屋。店内からは久留米市街の眺望を見ながら、うどんなどの軽食のほか、名物のところてんが楽しめます。
 
■家庭料理さつき 
住所:福岡県久留米市御井町1735  (Google Map
電話番号:0942-43-4727
コーススタートすぐにある地元食材にこだわった家庭料理の店。事前予約でお弁当も頼めます。
 
湯の坂久留米温泉 
住所:久留米市野中町湯の坂1235(Google Map
電話番号:0942-33-4126
天然自噴48℃のアルカリ性硫黄温泉。大浴場や露天風呂のほか、食事や宿泊の出来ます。


スタートまでのアクセス

福岡空港→<地下鉄 約5分>→JR博多駅→<九州新幹線 約18分>→JR久留米駅→<久大本線普通列車 約10分>→JR久留米大学前駅(スタート)→<久大本線普通列車 約2分>→JR御井駅(フィニッシュ)

■JR九州(久大本線)
久留米駅⇔久留米大学前駅⇔御井駅 1時間に1~2本運行
時刻のお問合せ先:JR九州案内センター TEL 050-3786-1717


※スタート地点の「JR久留米大学前駅」周辺に有料パーキングあり。


注意するポイント

■ルートの注意点
高良山の山頂近くまでたどるため、前半は登りが多め。
奥宮に至るルートは未舗装の登山道。天気によって足場が悪くなることもあるので、気になる時はトレッキングシューズを履いた方が無難です。
アップダウンが多く、表記された距離よりも移動に時間がかかります。自分が思った以上に疲弊しているなんてことも。
■行動時間:5~6時間
■高低差:約250m
■距離:8.6㎞
■難易度:中級・上級
■エスケープ
・参道から高良大社に抜ける車道
・恋実る展望台と奥宮間にある、つつじ公園に抜けるルート。


服装・装備

・履き慣れたシューズ
・20~30Lのリュック
・夏場は帽子や汗拭きタオル
・レインウェア、傘やポンチョ
・夏場は速乾性のあるTシャツとシャツやウインドブレーカーなど動きやすい服装。冬場は予備の防寒着と着替えも
・久留米・高良山オルレの地図
・行動食。筑後にちなんで黒棒がおすすめ。糖分が取れて消化のよいものが好ましい
・飲み物。夏場は多めに携行する。途中の売店などで補給も可能


オルレのマナー

1. 民家の庭にみだりに入らない。
2. 人や個人のものを撮影するときは同意をもらう。
3. ゴミは必ず持ち帰る。
4. 道沿いの農作物を勝手に採らない。
5. 道端に咲いている花や木の枝を採らない。
6. 民家付近等で大声で叫んだり、騒いだりしない。
7. 次に訪れる人のために、リボンを持ち帰らない。
8. 道案内の看板にはさわらない。
9. 未舗装の道は、決まった経路を通る。
10. 風景を楽しみながらゆっくりと歩く。
11. 車道を歩くときは、車に気をつけて歩く。
12. コースから外れた急傾斜地等での危険な行動は控える。
13. 途中出会う旅行者や地元住民の方々と笑顔 で挨拶を交わす。


お問い合わせ

九州オルレ久留米・高良山コース推進協議会事務局
(久留米市商工観光労働部 観光・国際課内)

〒830-8520 福岡県久留米市城南町15-3

TEL:0942-30-9137
FAX:0942-30-9707

 


九州オルレ特集記事はこちら

テキスト・写真:若岡 拓也(IN THE FIELD)
ディレクション:村上 智一(IN THE FIELD)



公開日:2022年3月8日
最終更新日:2023年1月25日

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