
九州オルレ【05中級】筑豊・香春コース ―香春(かわら)の歴史と山里の風景を巡る―
古より交通の要衝とされた香春町。江戸時代には宿場町として栄え、幕末には藩庁が置かれた歴史ある町です。スタート及びゴールはJR駅で、日田彦山線を縫うようにコースが設定されています。歴史や文化に触れながら、さらにパワースポット巡りもできます。
コースの流れ
スタートは100年前の景観を伝えるJR採銅所駅。山里の風景を眺めながら山道を登り、標高303mの頂から香春岳と採銅所地区のパノラマを楽しめます。山を下り、金山跡、奈良時代の銅鉱山・神間歩を通り香春岳山麓まで歩きます。日田彦山線を縫って進むため、鉄道写真の名所・第二金辺川橋梁など多くの鉄道風景に出会えるのも魅力。
さらに元光願寺跡の大クス、香春神社の山王石などパワースポット巡りも楽しみなコースです。
イチオシスポット
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JR採銅所(さいどうしょ)駅
近代洋風木造駅舎として随所にモダンな雰囲気を残し、大正4年(1915年)開業当時の姿を今に伝えています。平成29年(2017年)には旧駅長室部分を改装。地域おこし協力隊員が常駐する香春町移住・交流の拠点「第二待合室」がオープンしました。
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元光願寺(もとこうがんじ)跡の大クス
樹齢850有余年といわれるクスノキで、福岡県指定天然記念物となっています。かつて、この地には光願寺という寺院がありましたが、昭和20年(1945年)の台風の折、山津波のため寺院は埋没、付近の人家も大きな被害を受けたものの、このクスノキは土砂を食い止め被害を軽減させました。パワースポットとしても人気の場所です。
コースマップ
距離:11.5km/所要時間:4~5時間/難易度:中級
問い合わせ:0947-32-8406(香春町役場産業振興課)/0947-85-8035(香春町観光協会)
スポット案内
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1.神間歩(かみまぶ)公園と柿畑
「間歩」とは鉱物が採掘された坑道のことで、ここにある間歩は、神聖な祭祀が行われていたため特別に「神間歩」といわれるようになりました。付近には金山跡や御手洗の滝霊場、さらに採銅所特産の干し柿の元となる柿の木が植えられた畑など、歴史と変化に富んだ風景が展開するゾーンです。
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2.香春岳遠望
もっと見る五木寛之「青春の門」の舞台となった香春岳がきれいに望めるスポット。香春岳は筑豊の名山として古くから親しまれ、信仰の対象になるとともに、その山体からは金、銅の鉱物さらにはセメントの原材料である石灰岩も採掘されてきました。また山腹には中世に不落の堅城といわれた香春岳城(鬼ケ城)が築城され、戦乱の舞台となりました。
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3.香春神社
もっと見る奈良時代に編纂された風土記に記されている古社。〝新羅の国の神が渡りきて…云々〟との記述があり、朝鮮半島とつながりの深い歴史を感じます。境内にある〝山王石〟という巨石は、昭和初期、採掘の進む香春岳一ノ岳より落石したものの不思議なことに社殿を少しも傷つけることなく現在地に鎮座したため、山の神様が石に乗ってきたのだろうと言われています。
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4.矢山の丘
採銅所駅の裏手に連なる山の一角に位置する矢山の丘は、標高304mで4等三角点が置かれた展望の良い場所。竹林、杉林、雑木林と次々に変わるルートの頂上にあり、採銅所地区の展望はもちろん、香春三ノ岳の迫力ある山容を間近に見ることができます。頂上に置かれている鐘を鳴らし、幸運を呼び寄せましょう。
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5.上高野観音寺
弘法大師伝説のある霊場で、高野山〝こうやさん〟に因み、高野を〝たかの〟と呼ぶようになったといわれています。本尊は馬頭観音で、安産に御利益があると現在でも信仰が厚く大切に守られています。秋の紅葉をはじめ、四季それぞれに美しい風景が楽しめるところで、境内に自生する苔も見事です。隣接した地には水の守り神である貴船神社があります。
スタート地点へのアクセス
JR博多駅 → <東海道・山陽新幹線又は鹿児島本線 >→ JR小倉駅 → <日田彦山線> → JR採銅所駅
Column

【取材記事】九州オルレ 筑豊・香春コース 香春岳を見ながら、ぬくもりを感じる里山の道
山は昔から人間にさまざまな恵みを与えてくれます。必然的に、ふもとに暮らす人々とは密接なつながりが生まれました。筑豊・香春コースは、そんな里山と人の関わりを垣間見せてくれます。終始眺めることのできる香春岳は、その恩恵の象徴です。そのほか、きれいに整備された竹林や林道、展望台のちょっとしたオブジェ。ちょっとしたところに、人の営みのぬくもり、優しさが感じられることでしょう。
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